火だるま属性が火傷治療についてまとめる


火傷とは

火傷とは、皮膚に火、熱湯、蒸気などの高温のものが触れて皮膚の表皮やその皮下組織が傷害することです。一般的に、人間の皮膚は45℃以上の温度で熱傷になり、45℃の場合は1時間、70℃の場合は1秒で組織の破壊が始まるといわれています。一方で、低温熱傷と呼ばれる長時間の低温熱源の直接接触により受傷する場合は、温度が44℃だと約6〜10時間で受傷するとされています。熱傷を受けた面積が広ければさまざまな血圧低下やショック状態などの全身症状があらわれ生命が危険にさらされることがあります。また、火傷分類でいうところの深いII度以上でかつ面積が広範囲に及ぶ場合は、肌が元のとおりには治らない可能性が高く、ケロイドや瘢痕が残りやすいとされています。このエントリーではこのような重症熱傷に関するまとめになります(それよりも軽い火傷はほとんどの場合跡形もなく治ります)。


火傷患者としての心構え

火傷というのは受傷直後の応急処置が最も重要で、重い火傷の場合に初期治療が遅れたり、正しく行われなかったりすると、その後の傷が永遠に残ることになる可能性が高くなります。これはその後にどんな名医に診てもらうにしても踏まえなくてはなりません。
また、一般の医者にとっては、命を救うことには熱心でも、きれいに治すことにはあまり関心がありません。最近でこそ、傷跡をきれいに治すという目的でも、保険適用されることが一般化したとはいえ、命を救いさえすれば医者は最低限の義務は果たしているので、傷をどの程度きれいに治したいのか、そのためのリスクをどの程度負うかのは患者自身が判断しなければなりません。

火傷の専門医とは

火傷専門医と名乗るお医者さんであれば、火傷の傷をきれいに治すことの重要性を理解していること、患者がどのように治してほしいかを最優先にすること、火傷治療は長期にわたることがほとんどのため保険適用は当然と考えていること、患者の希望に応える安全かつ最新の治療技術を持っていることが最低条件です。また、科学的に正しくより効果的な治療方法を常に探し続ける努力、過去の方法だけでなく新しい技術も取り入れる勇気も持っていてほしいです。どんな医者も最初から名医であるわけがないので患者の高望みといわれればそれまでですけど。。

火傷治療の限界

軽度の火傷の場合は、正しい初期対応と、一般的な医者の指示にさえ従っていれば、数日から数週間すれば、多くの場合は自然治癒します。ぶっちゃけ何もしなくても跡形もなく治ります(高い軟膏を使って治ると宣伝するケースはほぼ間違いなく何もしないでも治るケースです)。しかし、深いII度以上の火傷を負った場合は適切な治療がなされても跡が残ってしまう可能性が高くなります(高い軟膏を購入したのにまったく効果がなく泣き寝入りするケースです)。
研究者や火傷専門医が、きれいに治したいという患者に応えていろいろな治療方法を開発していますが、救われるケースもあれば、結果的に意味をなさないケースもあります。

現在の火傷の治療方法には私の知る限りの勝手な分類では大きく3系統が存在すると認識しています。どの方法が最良かは医者の技術や火傷状況によるでしょうが、同時に複数の方法を試すということは不可能ですので、たった一つを選ぶ必要に迫られます。今のところ私にはどれが正しい治療なのか知るすべがありませんが、ただ、言えることは手術系の植皮とエキスパンダーを選択し、まあそこそこよくなったということだけです。

1.手術系

これまでに多くの火傷経験者と会ってきましたが、そのほとんどが手術系の治療を受けています。技術は少しずつ向上しているようですが、依然として患者が思ったほどの効果を得られていないのがほとんどです。2008年末には保険適用による培養皮膚を用いた手術が始まったようですが、これもきれいに治すという目的からは程遠いものでした。

植皮:

植皮とは、ドナーの皮膚を採皮して、創傷などへ貼付縫合する手術です。皮膚は患者自身から採ったものでなければならないため、火傷していない正常な自分の皮膚をドナーとして提供せねばならず、単純に傷が2倍になることを覚悟しなければなりません(他人の皮膚では1週間〜10日間植皮部を覆ったのち、剥がれ落ちます)。

(1)分層メッシュ植皮
 植皮する際皮膚をメッシュ状に引き伸ばし面積を稼ぐ方法です。この方法は生着もよくドナー部位の治りも早のですが、外力に弱く拘縮しやすい、色素沈着を起こしやすい、見た目も醜く残るという問題があります。
(2)皮下組織遊離植皮
 皮下組織ごと植皮する方法です。この方法は生着が悪くドナー部位も目立つ傷跡を残しますが、外力に強く関節部に適し、なにより見た目が比較的きれいに仕上がります。
(3)分層植皮
 皮膚の層を分割して採り植皮する方法です。メリットデメリットは調査中です。

エキスパンダー:

ティッシュー・エキスパンダー法(tissue expander、組織伸展法)は、広範囲な皮膚、軟部組織欠損の修復法の一つです。シリコン製の風船を皮膚の下に埋入し、そこに水(生理的食塩水)を少しずつ注入することにより風船を大きくし、その上の皮膚を伸展させ、その皮膚を皮膚欠損部の修復に利用する方法です。下記の手順のとおり2回の手術がセットで行われます。
(1)第一回手術
 空っぽの風船状バッグを、切除・被覆したいあざや母斑、傷跡に隣接した健康な皮膚の下に埋入します。
(2)生理食塩水注入
 エキスパンダーに生理的食塩水を注入します。
(3)第二回手術
 あざを切除した後の欠損を、充分に覆るだけの皮膚伸展が得られたら、これらを切除、同時にエキスパンダーも除去して伸展した皮膚で欠損部の再建をします。

Z形成:

傷を目立たなくするために使われる一般的な皮膚形成技術です。大きい傷を単純に左右に縫い合わせようとしても寄せられないので、皮切を入れて、フラップ状にして、上下を入れ替えるようにすると、ちょうどZ状になり、パズルのように無理なくはめることができます。

2.新しい創傷治療系

湿潤療法
II度からIII度の広範囲におよぶ熱傷を負うと、大学病院等では上記のような手術系で解決するのが主流です。しかし、一方で、湿潤治療を用いれば、同様の重症熱傷でも手術を行なわないでも、瘢痕拘縮を起こすことなく治療が可能とされています。賛同する医者が増えているようですので、本当のところはどういうものなのか、これから勉強してみようと思ってます。

3.レーザー系

異常な皮膚をレーザーによって除去し、正常細胞を蘇らせることにより、キズ跡を薄く目立たなくしていく方法です。小さなあざや手術跡がきれいになったというケースはあるようですが、重症熱傷のような広範囲をレーザーで当てるのは非現実的です。

いつまでも出回る嘘商品

どこの世界でも同じですが、絶望的な悩みを持つ人に対して、怪しげな商品で解決するなどと嘘をついて、不当に儲けようとする人間がいます。科学によって治せないものが薬だけで治るということは決してありませんので、どうかだまされないようにしてほしいです。


やけどの広場 | 火傷の治療方法や口コミ情報の紹介をはじめ、受傷された方の交流を目的としたSNSの運営を行っています。から引用